判決前に速報?「主文後回し」とは何を意味するのか?【刑事裁判】
なぜ、テレビ局は、判決が出る前に「ニュース速報」まで流すのでしょうか?
主文後回しの意味や事例についてかんたんにまとめました。
主文後回しとは?
主文というのは、かんたんに説明すると、刑事裁判における「有罪・無罪の結論部分」です。
有罪の場合は、刑の内容も含まれます。
通常の流れでは、まず判決理由が述べられ、その後に主文が言い渡されます。
ただし、重大犯罪かつ厳しい刑が科せられる場合には、主文を最後に述べることがあります。
これが、「主文後回し」です。
後回しの理由としては、重い判決を先に伝えることにより、被告人が動揺したり、取り乱す可能性があるからです。
そうなると被告人自身にとって重要な判決理由を聞くことができなくなったり、最悪、裁判の進行に支障がでることも考えられます。
主文後回しでテレビが速報を打つ理由
では、なぜテレビ局は、主文後回しというだけでわざわざニュース速報まで打つのでしょうか。
厳しい刑罰が科せられるとしても、もう少し待って主文が読み上げられてからでいいじゃないかと思いますよね。
テレビ局が、主文後回しで我先にと速報を流す理由。
それは、重大事件で主文後回しになった場合、「ほぼ確実に死刑になる」ということが暗黙の了解になっているからです。
報道機関としては、主文後回しが確定した時点で充分速報を打つ価値があるということになります。
主文後回しになった事例
直近では、2016年に起きた「相模原障害者殺傷事件」(2020年3月16日に横浜地裁で判決)。
2017年に元警官が起こした、「福岡母子3人殺害事件」などが挙げられます。
さらにさかのぼると、1999年に起きた「光市母子殺人事件」でも同様に、主文後回しで死刑が確定しています。
まとめ
重大事件において、「主文後回し=死刑宣告」といっても過言ではありません。
正直、被疑者という立場であれば、弁護士から事前に「主文後回し」について説明を受けているのではないかと思います。
であれば、後回しにされた時点で取り乱す可能性があるので、後回しの意味は無いと思います。
実際に言葉にされて宣告される方が衝撃が大きいということでいまだにこの慣例を続けているのか、裁判所の体質の問題なのかは謎です。